ゆうちょ銀行の硬貨預け入れ有料化に伴い、こんな話題を見つけました。
この記事の要約
- ゆうちょ銀行で今まで無料だった大量の硬貨の預け入れが有料化された。
- これにより名古屋の浅間神社では「お賽銭」を銀行に預け入れるだけで年間10万円の費用が発生する計算。
- お賽銭のキャッシュレス化を進める動きもあるが、電子マネーを扱える人がいない等の問題がある。
なぜゆうちょ銀行は硬貨の預け入れを有料化したのか?
硬貨の取り扱いというのは、私たちが想像しているよりもはるかに高いコストがかかっています。
硬貨を製造する費用がかかるというのももちろんですが、銀行の立場になって考えてみると、硬貨を取り扱うために専用の機器(ATM等)が必要になりますが、電子マネーの読み取り機器と異なりATMは物理的に動作します。従って故障が発生しやすく、メンテナンス費がかかってしまいます。
また、古くなったり変形した硬貨が詰まってしまったり、メダルや外国の硬貨などが混入してしまったりなどの事態も多く発生しているようです。
この他にも大量の硬貨という重量物を輸送するためのコストなども加わり、ゆうちょ銀行では硬貨の取り扱いのために毎年数億円の費用がかかっているそうです。
これに昨今の低金利やコロナ禍での経営ひっ迫が重なり、ゆうちょ銀行は硬貨の預け入れ有料化を決定したというワケですね。
小銭から逃れられない神社
ゆうちょ銀行が硬貨の預け入れを有料化したところで、一般的な人からすると「ふ~ん」程度の感想しかもたないと思います。
大量の小銭貯金でもしていない限り、そこまで多くの硬貨を保有することってあまりないですからね。
しかし神社はそうはいきません。大量の硬貨が集まる「お賽銭」があるからです。
このお賽銭も神社の人たちが手作業で硬貨ごとに仕分けを行うワケなんですが、例えば1円玉1,000枚をゆうちょ銀行にもっていくと手数料が1,100円かかってしまうんです。
「銀行に1,000円預金したと思ったら、100円赤字になっていた」 な...何を(以下略)
こういった情勢をいち早く察知し、キャッシュレス化に踏み切った神社もあります。
同じく名古屋の別小江神社では、参拝客が増えるお正月の期間に限りお賽銭の電子マネー決済を実施しています。
しかしほとんどの神社では電子マネーを扱える人物がいない等の問題があり、キャッシュレス化は進んでいません。
キャッシュレスと文化
当ブログではクレジットカードや電子マネーによるキャッシュレスを強く推奨しています。理由は上記のように社会への負担減になるから、何より自分にとって得になるからです。
しかしこのニュースを見て、確かにキャッシュレスを徹底している自分でもお賽銭は硬貨を投げるなぁと気づかされました。
ゆうちょ銀行の対応は正当なのか?
これは仕方がないと思います。すでにゆうちょ銀行以外のほとんどの銀行では硬貨の大量預け入れは有料化されています。
低金利とコロナ禍で銀行もヤバそうですから、どこかでコスト削減なり値上げなりを行わなければなりません。職員の給与ダウンやATMの手数料アップなどの措置を取られるくらいなら、かなりマシな策定といえるのではないでしょうか。
お賽銭のキャッシュレス化は流行るのか?
ぶっちゃけた話、お賽銭にキャッシュレスが存在することはこの記事で知ったんですけど、皆さんは知ってましたか?
私が無神論者だからなのかもしれませんが、このことを知ったとき「それはお賽銭の意味があるのか?」と疑問を持ちました。
お賽銭の起源については諸説がありますが、賽銭箱を設置して硬貨を投げ入れるようになったのは近世になってからで、それ以前は祭られている神様への感謝のしるしとしてお米などをお供えするのが通例でした。
ですから大事なのは「神様への感謝」であって、お賽銭という行為は後付けでありあまり意味のない行為なんですね。
じゃあなんでお賽銭をするのかというと、「大事なモノであるお金を"投げ入れる"という背徳感」「金銭を支払うことで見返りを正当化」「ものを投げることが楽しい」などの割と単純な感情が理由なんだと思います。
そうなってくるとお賽銭をしないキャッシュレスお賽銭は多くの人にとって本当に無意味な行為となってしまい、お賽銭がオワコンになってしまう可能性があります。
提案:「キャッシュレス」+「お供え物」
いろいろ述べましたが、お賽銭のキャッシュレス化には賛成です。これからの時代、お金を実物として扱うのはコストの無駄以外の何物でもありません。
しかしながらお賽銭は多くの人にとって投げ入れるという行為が重要であるため、キャッシュレスにしてしまうと味気ないものとなってしまいます。
そこで参拝者にはキャッシュレスでお賽銭料を支払ってもらい、何かしらの「お供え物」を代わりに渡すというスタイルが良いのではないかと思います。
再利用可能である「神社メダル」的なものを発行、硬貨の代わりに投げ入れる…とも思いましたが、ここはお賽銭の発祥を重んじて「お米」にするのが良いかもしれません。
お米をそのまま投げるのは神社側に労力がかかりますので、お守りのような袋にお米を詰めて、それを投げる形にすればうまくいくのではないでしょうか。